2010年3月11日木曜日

福原義春写真展 私と蘭138


3月18日迄銀座和光並木館で行われているこの展覧会を観、余りの感動に此れを書いている。
福原氏御自身が栽培し 撮影された138種類の蘭。物言わぬ花々がこれ程までに大きな感動と 沢山の事を語りかけてくれるとは!
もう残り少ない会期だけに 一人でも多くの方に御伝えし この感動と喜びを味わって頂きたく、御紹介する次第。
旅の為 早く拝見できなかった事が 今更のように悔やまれるが。

黒をバックに 「花の色が最も素直に見える」との理由から自然光で撮影された様々な形や色の花。「蘭は開花直後の2-3日と 枯れる寸前が最も美しいのかも知れない」と言われる福原氏。その花の美しさは虫を誘い 受粉する為のものと考えた時 人間の目ではなく「虫の目線」で捉え 御自宅の庭に有る「温室から鉢ごと運び込み」撮影されたと言われる。
 彼の写真歴は長く、小学校の時 伯父福原信三氏より受け継いだカメラ・コダックで撮影したのが最初とか。此れまでも幾度かの蘭の花を撮った写真展や本の出版も多数されている。
現在は資生堂名誉会長の他、東京都写真美術館長、全日本蘭協会名誉会長、企業メセナ協議会会長他 多くの公職をこなされ乍らの撮影。
展示方法にも 1点1点に異なる趣向が込められ 眺める人を釘付けにして終う。
「何故 絵で表現するのではなく 写真なのか」。
「絵はそこに主観が大きく入り より美化し観たくないものを描かないが 写真は全てが客観。何物も隠さない、生きている蘭をぎりぎり ありのままに記録する」 それが御自分のオリジナリティーだと言われる。
「蘭を育てる事は経営の理念にも通じるものがある。経済性のみに拘り過ぎると其処に生まれるのはオリジナリティーの無い、薄っぺらなもの、世の中を味気なくする・・・」

会場の一角で放映される福原氏の映像と語られる一語一語が観る者の胸に沁みわたる。
これ程までに強いメッセージを込め、心と眼を楽しませ 且つ揺さぶるこの写真展。
一人でも沢山の人々に観てほしいと切に願う私である。