2010年3月31日水曜日

「皇室の20世紀」(小学館)




日本人として 改めて「自分の祖国・日本」への誇りを強く感じながらも 大きく楽しめるDVD付きマガジンが出た。 小学館より創刊された「皇室の20世紀」がそれ。
第1号は「世紀のご成婚」。
天皇陛下と美智子皇后さまの 御結婚前のなれそめから 日本中が沸いた御成婚を中心に 昭和天皇から皇太子ご一家のご様子等、全てがオールカラーの誌面と 約50分間のDVDのセットで作成されているこのマガジン。
今後は隔週火曜日発売で40号まで続くとの事。

私にとって「かなり鮮明に記憶して居る」つもりだった 当時の「おふた方に関するニュース」や馬車に依る「華麗なパレード」風景など等。今 改めて眺めると 様々な「思いがけない発見」と共に「懐かしさ」「驚き」そして「感動」が大きく湧きあがる。

先ず 何といっても素晴らしいのは お若い天皇と美智子様の お姿とその魅力。
美智子様のエレガントなお美しさ、そして周りを安らげる優しさと醸し出される凛とした聡明さは全くほれぼれするばかり!
これだけでも多くの方々に見てほしいもの。
又当時 大きく注目された美智子様のファッションも 今拝見して全く「古さ」を感じさせない。あの頃の人気の高さが思い出される。
若い皇太子で居られた天皇が あえて「歴史上初めてと言われる平民出身女性との御結婚」を強く希望された事が 改めて深く納得出来る記事に写真や映像の満載。
そして華麗な馬車に依るパレード。当時の警察その他の人々がどれ程緻密に準備したか。素晴らしさの裏側まで知るのも興味深々。
又 沿道風景や観衆の姿等、現在との違いを始め 思わぬ部分にも興味を掻き立てる要素が沢山ある。恐らくこれを読み、眺める人其々が 自分独自の発見や驚き、懐かしさ等 様々な想いと共に繰り返し楽しまれる事だろう。

第1号では 御成婚当時を中心に据えながらも 昭和天皇のこと、現在の皇族皆様の事等、全てが美しいカラー写真や映像と共に網羅されている。 時代を問わずどのページも映像も 奇麗に構成された編集はとても嬉しい。
又、皇室行事のしきたりから 我が国の歴史に至るまで 分り易く解説されているのも面白さを増す理由かもしれない。
全体に 細やかな配慮で盛り込まれた沢山の知識は まるでクイズの回答を知るような面白さ。
あらゆる年代・男女にとり 強く興味を惹くものだけに「永久保存本」として備えたくなる「皇室の20世紀」である。

このシリーズを全て揃えれば 固い歴史本を読む何倍も 日本の歴史と国の在り方を理解できる事だろう。

余りにも頼りない政治と 心を暗くする不況など 元気を無くしかねない日本人の心に明るさと力を吹き込んでくれる想いで眺め 読んだこのマガジンである。

2010年3月27日土曜日

カルティエのバッグ




フランスの誇るジュエリーブランド「カルティエ」が新しいバッグを発表した。最上質の素材と美しい色、二通りに変化するデザインと使い勝手の良さ。正におしゃれ心の粋を備えたバッグ“マルチェロ”。
モデルが見せるLサイズは、一泊旅行にも役立ちそうな大容量なのに 見た目にはごく普通のタウン向き。M・Sサイズもデザイン・素材は、全く同じながら、タウンからフォーマルにまで幅広く使える雰囲気を醸し出している。
嬉しいのはどれもが「2つのハンドル」を備え ごく簡単に付け替え可能な事。モデルの様に長いハンドルを付ければショルダーとなり、短いものに変えるとイメージはぐっとエレガントに。
色は写真の赤の他 黒、ダークキャラメル、ダークブラウンなど。
ひと際 眼を惹く「素材の美しさ」はカーフとスネークスキンだが私にとっての歓びは蓋を開けた時の裏側。スエードにクッキリと浮き出すC二つを合わせたカルティエのロゴの美しさ!!!
更に驚きは価格。何とLは199500円、Mは168000円、Sに至っては132800円。最高ブランドのバッグとはとても思えない手頃さなのに 素材と造りの素晴らしさや、使い勝手の良さは驚き!!
カルティエ・ジュエリーの輝きや伝統までも このバッグにしっかりと詰め込んだ「見事な贈り物」である。

所で 多くのブランドの中で早くから「アート」に眼を向け、カルティエ現代美術財団を設立した此の会社。フランスのメセナの歴史で初めて 新進気鋭の現代美術アーティスト達に作品創りの場を提供したのが25年も前の事。
1994年からはパリ・ラスパイユ通りに展示スペースを創り アーティストに全てを白紙委任する展覧会で大きな注目を集めて来た。
先ごろ 芸術文化勲章・コマンド―ル受賞で話題を集めたビート たけしへの勲章授与も 彼の此処での展覧会「Gosse de Peintre 絵描き小僧」(2010・3・11-2010・9・21)が良いきっかけを創ったようだ。

この会場・カルティエ現代美術財団では過去に多数の日本人アーテイスト達の展覧会も行っている。横尾忠則、荒木経惟、三宅一生等など。
現在大人気を誇る村上隆もここでの展覧会が世界へ羽ばたく大きなきっかけとなった事を知る人は意外と少ない日本。 

昨年3月末から5月まで東京国立博物館で行われたカルティエ作品の歴史を辿る展覧会「Story of…」、2002年京都醍醐寺にて観た「カルティエ宝飾展」等、その伝統と作品への感動。私の中には未だに あの時の胸の大きな高鳴りが深く刻み込まれている。
同じバッグ一つにも 其の熱い情熱や美意識、技術、そして伝統までもが込められていると思う時、歓びが何十倍、何百倍にも感じられるのは私だけだろうか。

2010年3月25日木曜日

あっぱれ 橋下知事!!

高校無償化問題で 北朝鮮から「政治詐欺師だ!」と名指しで言われた大阪府の橋下知事。
「自国民の子供たちを泣かせたくないなら、まず日本人拉致被害者を帰した上でないと朝鮮学校の無償化は無い。不法行為を行っている国や団体に大阪府民の税金を使う事は出来ない」と断言した知事。道理を踏まえた見事な発言だ!!
加えてもう1件。大阪近辺に3つもある空港の中の「一つを閉鎖」と唱える彼。其れをほぼ全議員で反対する大阪府議会。ゼネコンか何か「金が絡んで居る議員たち」と見たくなるのは私だけでは無いだろう。
大阪府民では無い私だが、橋下知事を強く支持したい。

全てを自己利益に結びつける多くの政治家達。
民主党への支持率急降下を受け、生方副幹事長解任をコロリと撤回させた小沢サン。その決定に「掌を返す態度」で小沢に従う民主党の議員達、なにも決断出来ずにいる鳩山首相。
又、北海道教職員組合(北教組)から違法献金を受け問題となっている民主党の小林千代美、鉢呂吉雄衆院議員等が責任を取らず 開き直っているのも 全ては首相や小沢幹事長をそのまま見習っての事に違いない。
こんな違法行為を平然と許し 専ら私利私欲に走る民主党をはじめとする政治家達にウンザリしている我々国民に「スッキリ気分」を呉れた橋下大阪府知事。
彼の様な政治家が4-50人も集まったなら、日本の政治も大きく変わり、不況からの脱出も可能になる筈。
「次の選挙ではこうした信念で政治を行う人に立ち上がって欲しいもの」と切に 切に願う私である。

2010年3月22日月曜日

プレフォール


先頃パリ・ミラノ等で発表されたのは「10-11年秋冬コレクション」。これら作品の前に 店頭に並ぶのがこの「プレフォール」(秋前の品)。今の季節、各社がこぞって 様々な製品発表を行っている。

先ず御紹介したい「ルイ ヴィトン」。
バッグに靴に革小物等など どれも魅力的だが 私の目を惹きつけたのは季節を超え様々に楽しめる服やケープ類。
マイクロミニから超ワイドパンツ等ヴァラエティー豊富。着方次第で表情変化は正に自由自在。
写真のドレスはモノグラム模様の拡大ヴァリエーション、後側には大きなLV柄。街着に、パーティードレスにと楽しめる上 同柄のカシミヤシルクのショールを持てば 用途は更に広がる。
 ヴィトンは2月末 神戸に「ルイ・ヴィトン神戸メゾン」をオープン。
旧居留地25番館の此処には NY在住のアーティスト・アリソン ショッツの巨大な彫刻作品が飾られている。
単なる販売を超え「アートとラグジアリー」の結合で顧客に「喜びとサプライズ」を提供すると言う。
パリに始まるこのコンセプトの9番目に当たる神戸。正に進化・拡大し続けるヴィトンの魅力である。

グッチのプレフォール物として 私が目を留めたのはレインブーツ。4月初旬には店頭に並ぶ此のブーツ。サイド上部にG二つを組み合わせたマーク、5センチのヒール。雨の日以外にも立派に活用できそう。価格は34650円とのこと。

ペーズリー模様で有名なエトロからは 「夏期限定」のエトロ柄薄地ショールも出ている。シンプルな装いに華とアクセントを添えてくれるショールは 薄地だけに使い勝手も良さそう。

勿論この他多くのブランド、メーカーが競って「今 使いたくなる品」を並べ 明るい気分を煽ってくれる。
「何か買物し 日本の不況脱出に役立てようか・・」と考えて見るのも楽しいのでは?

2010年3月20日土曜日

ファッション通信

・BSジャパン 土曜23:00-23:30
・同上 再放送・日曜11:00-11:30
ファッションへの関心深い人にとり 何より観たい「パリ・ミラノコレクション」がいよいよ放映開始される「ファッション通信」。
世界中で「最も長く続くファッション専門番組」として高く評価されるだけに、取材の難しいこの世界で 奥深く潜入できる強みを発揮しての番組構成。
いよいよ4月3日より「2010-11秋冬ミラノ・コレクション」、続いて「パリ・コレクション」の放映が始まる。

想えばこの番組を始めたのが今から25年前・1985年11月の事だった。
「働く女性から男性まで 幅広い人にファッションへの関心を新しい角度で持ってほしい」と願い続けていた私。「予算もコネクションもプロも居ないが・・・」という条件で参加したのがこのプロジェクトだった。最初はまさに「低空飛行」の1-2年。やがて 少しづつ形になり 思いがけなく現在まで続いている。
IT発達の御蔭で 現場に行かずとも作品そのものは同時に見られる今だが、直に取材して得るものはやはり何かが違う。

世界中で行われるコレクションの中でも、とりわけ「最高の感性で次なる時代を感じ取り 形として表現する」のがパリ・ミラノに集まるデザイナー達かもしれない。
それは「ファッションを目指す者」と限らず・あらゆる分野で「次なる時代に求められるイメージ」を模索する人にとり大きなヒントを得られるもの。楽しむと同時に、其々活用して欲しい。

所でパリ・ミラノを始める前。本日3月20日(再放送は21日)ぜひとも 見て頂きたいものが有る。

「アレクサンダー マックイーン追悼番組」“We loveyou forever”
ロンドンの下町にタクシードライヴァーの6人目の子として生まれ、16歳から名門テーラーに弟子入り。10年近く各地で修行。その後ロンドンの名門校セント・マーチンにてファッションデザイン修士(MA)を得る。
1996年 パリの「ジヴァンシー・オートクチュール」主任デザイナーとして採用された。
その後は正に「ファッション界の最高峰」へと昇り続けた彼が 何とこの2月11日朝・ロンドンの自宅で「自死」。40歳。

才能あふれる若い彼の死。最初から見続けてきた我々にとってのショックの大きさも含め ぜひ御覧頂きたい。

2010年3月12日金曜日

ブルガリ


成熟した美しい裸身に巨大エメラルドイヤリングと輝くジュエリーにバッグ、白いオウムを手にする女性。現在、多くの女性誌を飾るブルガリの広告。強い印象を持つ此の写真に惹かれ、しばし目を離せずにいる方も多い筈。
 設立125周年に当たる昨年。ブルガリは本拠地ローマを始め 世界各地で様々な催しとチャリティー活動や 各種の新製品発表を行った。
そして今、2010年春夏からの広告キャンペーンとして打ち出したのが女優ジュリアン ムーアを起用し「エキセントリックなカリスマ」をテーマとしたこのヴィジュアル。
アカデミー賞に幾度もノミネートされた実力個性派女優・ジュリアンを撮るのは 注目のデュオ、マート&マーカス。このコンビで醸し出す「新古典主義的な絵画」を想わせる美しさは そのままこのブランドが目指す「ハイジュエラーからライフスタイルブランドへ」の進化方向を示して居るよう。
バッグやスカーフ等は早くから手掛け ついで香水 ボディー化粧品。さらに「ブルガリホテルズ&リゾート」へ。第一号ホテルはミラノに。ついで東京銀座のブルガリ・レストラン、更にはアジアのリゾート地・バリに 広いプライヴェートビーチを持つ「ブルガリ・リゾート・バリ」へと発展。

又、忘れてならないのは“Rewrite the Future”セーブ ザ チルドレン等 一連の「チャリティー活動」。
なかでも年令男女を問わず共感を集めた3万円台のシルヴァーリングとペンダントの発売。 お洒落とチャリティーへの意思表示が多くの人々の共感を呼び、売り上げは世界中で8億円余に達したとか。その中から多額の金が 紛争地域に住む子供たちの教育に役立てられているという。
加えてニューヨークのクリスティーズ・オークションで売ったダイヤ・サファイア等169石使用の大ぶりネックレスなど11点に及ぶハイジュエリーや時計の売り上げも同目的に寄贈された。

私にとっては、昨年東京上野の国立西洋美術館での「古代ローマ帝国の遺産・栄光の都ローマと悲劇の街ポンペイ」展から受けたブルガリ製品デザインとの関連性が忘れられない。館長青柳正規氏の語られた古代ローマが 私の「ローマ好き」と重なり大の青柳先生ファンになった事は余談だが・・・

こうした多くの事柄を併せて眺めるジュリアン ムーアの魅力。女の私でさえ引き込まれる想い。更に50歳と言う彼女の年齢を知ればその成熟と自信に満ちたカリスマ性に大きな拍手をおくりたくなる。これぞ正に進化する21世紀のブルガリの姿なのだろう。



 

2010年3月11日木曜日

福原義春写真展 私と蘭138


3月18日迄銀座和光並木館で行われているこの展覧会を観、余りの感動に此れを書いている。
福原氏御自身が栽培し 撮影された138種類の蘭。物言わぬ花々がこれ程までに大きな感動と 沢山の事を語りかけてくれるとは!
もう残り少ない会期だけに 一人でも多くの方に御伝えし この感動と喜びを味わって頂きたく、御紹介する次第。
旅の為 早く拝見できなかった事が 今更のように悔やまれるが。

黒をバックに 「花の色が最も素直に見える」との理由から自然光で撮影された様々な形や色の花。「蘭は開花直後の2-3日と 枯れる寸前が最も美しいのかも知れない」と言われる福原氏。その花の美しさは虫を誘い 受粉する為のものと考えた時 人間の目ではなく「虫の目線」で捉え 御自宅の庭に有る「温室から鉢ごと運び込み」撮影されたと言われる。
 彼の写真歴は長く、小学校の時 伯父福原信三氏より受け継いだカメラ・コダックで撮影したのが最初とか。此れまでも幾度かの蘭の花を撮った写真展や本の出版も多数されている。
現在は資生堂名誉会長の他、東京都写真美術館長、全日本蘭協会名誉会長、企業メセナ協議会会長他 多くの公職をこなされ乍らの撮影。
展示方法にも 1点1点に異なる趣向が込められ 眺める人を釘付けにして終う。
「何故 絵で表現するのではなく 写真なのか」。
「絵はそこに主観が大きく入り より美化し観たくないものを描かないが 写真は全てが客観。何物も隠さない、生きている蘭をぎりぎり ありのままに記録する」 それが御自分のオリジナリティーだと言われる。
「蘭を育てる事は経営の理念にも通じるものがある。経済性のみに拘り過ぎると其処に生まれるのはオリジナリティーの無い、薄っぺらなもの、世の中を味気なくする・・・」

会場の一角で放映される福原氏の映像と語られる一語一語が観る者の胸に沁みわたる。
これ程までに強いメッセージを込め、心と眼を楽しませ 且つ揺さぶるこの写真展。
一人でも沢山の人々に観てほしいと切に願う私である。

2010年3月9日火曜日

アカデミー賞


3月のハリウッドはアカデミー賞等 華やかさと注目度が一段と高まる。今年は特に 3Dで大きな話題と興行成績を挙げている「アバター」か、それとも イラク戦争を舞台に命をかけて米軍危険物処理を行う兵士たちを描く「ハート・ロッカー」か。
この2作の監督が離婚した元ご夫婦だった事も注目を大きくしたのはもう皆様 良く御存知の事。
結果は何と!! 堂々6個もの賞を獲得したのは「ハート・ロッカー」の女性監督・キャスリン ビグロー。
作品賞、監督賞など6個の賞。一方 元夫・ジェームス キャメロンが得たのは3個の賞のみ。
さて、喜ぶキャスリン ビグローの 女優をしのぐ程の「大人の女の魅力」に目を見張ったのは私だけで無い筈。
 オスカーを手にした彼女。 当日はグレーのドレスに佛高級宝飾店ブシュロンのコレクション「アバ」の大きなダイヤモンド輝くシンプルなイヤリングに これ又同社のジュエリー ホワイトゴールドにダイヤモンド輝くブレスレットを飾っていた。
とてもシンプルなデザイン、けれど最高のブランドが誇るダイヤモンドの輝きは 彼女の知性を示し、何ともエレガント。さすがと感動させられた。
 この日は「誰が賞を取るか」と同じ位 マスコミが注目する宝石やドレスなど。
デミ ムーアはヴェルサーチのドレスに ヴァンクリフ&アーペル社の宝石。同日行われたヴァニティーフェア オスカー パーティーではヒラリー スワンクが同じくヴァンクリフ&アーペルのダイヤモンド ペンダントを黒いドレスに輝かせた。
又エイミー アダムスはイタリーのデザイナー・アルベルタ フェレッティーの美しいブルーグレーのドレスで注目を集めた等伝えられている。
様々な意味で人々を楽しませてくれる映画の世界である。

ニュージーランドへの旅 5

「賢い法律」
10年ほど前、この国で結婚・出産をした娘・彩は言う。「色々欲を言えば文句もあるし 税金も安くないけど(消費税12,5%、所得税最高で39%位)。でもそれなりの事をしてくれるし、政治の透明さはあるし、 セキュリティーも悪くないし。住むにはとても良いと思う」。 旅行者の私が先ず驚いたのは 入国時の持ち込み品チェック。
「食品、動植物」は全て申告。泥のついた靴や植物の種は厳禁。あくまで「環境保全」を貫く姿勢が強く感じられる。
「木々の自由な伐採禁止」もその現れのひとつ。「釣り」の時も驚いた。「一定以下の大きさの魚を捕る事」は禁止。
何と「船主は船没収。船を雇った人は車没収」とか。その上に罰金が科せられるのか否かは知らないがともかく厳しい。
こうした法律が存在してこそ、この国の豊かな自然が保たれるのだと感心したくなる。公園の小川にワニが捨てられる等 怖い事の珍しくない日本の現状と穴だらけの法律が改めて気になる。

所でこの国で感じるのは子供の多い事。何処に行っても子供一杯。少子化が心配される日本とは大違い。ここで妊娠・出産を経験した娘の話が驚きの連続だった事を思い出す。
詳しい事は又いつか別に書くとして、行政と委託された民間会社の連携で「初産」でも不安無く 無料で適宜に様々な検査を受け 出産出来る。それも事務的な処理法ではなく 親しい身内が付き添い続けるような安心感だったという。
出産後も赤ちゃんを連れ 病院へ検診に行くのではなく、体重計その他をもって月に2回、家まで来てくれたとか。
又ほかにも子供に関する法律は多く、14歳までは 子供だけで置く事は禁じられている。ここでは「カギっ子」や よほど近くでない限り「一人で登校」も許されない。
又「全ての子供は5歳から教育を受ける権利を持つ」。その為 5歳の誕生日になると学校に入学する。 日本の様な「一斉入学」とは違う。「教室内で机がグループ化されるのはその為」。遅く入れば分らないのは当然。 誰も「落ちこぼれ」だなんて思わない。
社会福祉に関しても「生活可能な金額」の支給があるらしい。
人々が温かくゆったり生活しているのも 何やら納得出来る。
加えてもう一つ。法律ではないが「キーウイー(NZ人は自分たちの事をこう呼んでいる)ハズバンドは世界一 家事・育児を行う」のは有名な事。
「手伝う」のでは無く「分担する」のを当然だと考えている。
彩の出産時に「立ち会うか否か」を迷っていた夫・嗣ちゃんが「迷うなんて。お前 それでも人間か!」とNZの友人に云われた話は今でも忘れられない。

法律が賢く 政治に信頼感を持てるこの国。税金を私物化する大物政治家が跋扈し いつまでも不況から抜け出せずにいる日本から見ると とても羨ましく感じられるニュージーランドである。

2010年3月7日日曜日

ニュージーランドへの旅 4

「駄菓子とマイケル ジャクソン」
この二つ、決してクイズのヒントでは無い。
今回の旅のお土産で子供たちが最も喜んだもの それがこの2つ。

1月末に帰国していた娘の彩。必要なもの、欲しがるものは殆ど其の時持ち帰った筈。
「さて、何が子供用に良いのか」困った私への答えが「駄菓子」。
「ええっ?駄菓子?」
一体どこで売っているのやら・・・とりあえず近くのス-パーを覗くと 何と大きな1列びっしりの「駄菓子コーナー」。ごく安いものから2-300円まで多種多様。
思わず興奮した私は籠に2個づつ次々と放り込んだ。
子供たちを前に幾つかのお土産を並べた最後に取り出した駄菓子を見た時 子供達の表情が大きく変わった! もう大変な興奮状態。
「全部2個づつあるから二人で分けるのよ」と言うなり彼等は慎重に分け始めたがその顔には喜びが弾けるほど溢れている。
「毎日2個づつだけ食べてもいいわ」とルールも決まった。其れからの毎日 家に帰ると其々の袋を取り出し全部を並べ 其の日のお菓子を決めるのが「一大作業」。
こんなに喜んでくれるなんて!!!

もう一つがマイケル ジャクソンのDVD。
これは荷造りの最後に「ひょっとして好きかな?」と鞄に入れた私用に買ったDVD。
「音楽大好きな彩が観るかな」と何気なく加えた品だった。「This is it 観る?」と出した途端、大きな歓声が上がった。
その翌日。「あっ君は今朝5時に起きてマイケルのDVDを観てたのよ」と彩。
帰国前日には家じゅうで観た。子供達はマイケルの振りを真似しながら「僕、これで4回か5回も観たョ」。
子供達・娘世代と私。3世代をこれ程までも楽しませてくれるマイケル ジャクソンの素晴らしさ!!
改めてその死を惜しみ、せめて1回だけでも公演が実現できていたならと・・今更ながら悔やまれる。同時にこの家の庭に広がる高い木々とシダの熱帯雨林を眺めながら、終盤に現れる「自然保護」を訴えるマイケルの姿が何とも強く心に響いた。

ちなみに、NZでは一定以上の高さの木を勝手に伐採する事は法律で禁じているとの事。
この国が定める数々の法律の正しさを確認する想いだった。

2010年3月6日土曜日

ニュージーランドへの旅 3


「子供たち」
あっ君8歳、マーちゃん7歳。兄弟は毎日 小さな喧嘩をしながらも「大の仲良し」。
引っ越しで転校。全校に東洋人は彼ら二人だけと言うが 直ぐに馴染んで毎日を楽しんでいる。
日本の小学校では2年生に当たるあっ君。こちらでは何と4年生。しかも算数その他、出来る科目では5年生と一緒に学んでいる。
下のマーちゃんもここでは3年生。
登校にはスクールバスが近くで拾ってくれる。
それも僅かに時間をずらして2台目が来る為、乗り遅れの心配も無い。バスまでは車で送って行く。
彼等が通うのは100年以上の歴史を誇るレヴェルの高い小学校だとか。広い校庭は低学年用、高学年用と分れている。
教室内は壁面に子供達の作品が貼られる等日本と変わらないが 机の並べ方が違う。
其々の理解度に合わせて5-6人ずつグループ化されている。理解度に合わせて学ぶとの事、「さぞかし先生は大変!」 でも親達がボランティアで助っ人を引き受けるらしい。
当然ながら学校は英語。「家では日本語だけ」と決めても不足する為、週2回は放課後に「日本語補習学校」に通っている。ここで国語や日本語での算数、社会、理科等日本人としての必要知識を学ぶ。
その他、父親の嗣ちゃんが熱中している剣道と彼等が「やりたい」と云う「カンフー」を2回。何とも忙しい毎日。でもエネルギー発散にはまだまだ不十分みたい。
女の子しか育てた事のない私にとり、このエネルギーの凄さは正にビックリもの!! 
所で今回驚いたのは、彼等の子供部屋がキチンと片付いている事。玩具も本もすっきり収まっている。
其の訳を聞いて感心した。父親・嗣ちゃんのアイディアで「全てがライブラリーごっこ」なのだ。子供達は彼等が作った小さなカードを持ち、それで玩具や本を借り出す。
但し1回1個のみ、返却すると次のものが借り出せる。その都度 備えられたノートに記入するというのが彼等のシステム。
此のシステムのもう一つの効用は「借り出した物を様々に活用して遊んでいる事」。
百人一首のカードは坊主めくりから始まり、立てたり横に並べたり。立てて「御寺」になったかと思うと、ぐるりと並べて道や街を作ったり・・・何日も二人で熱中している。その合間に2つあるデスクで絵や字を描いたり、宿題をしたり、他の遊びも入ってくる。
私もピアノの前に座らされ「ここはレストラン、これがテーブル」「このメニューから選んでください」とマーちゃんはサービス係に早変わり。手書きのメニューにはオードブル、メインにデザートが並び 値段も書かれている。「そうね、お魚のグリルとアイスクリーム」と言う私の前にやがて御皿に乗せた魚の絵が運ばれ、最後には絵のお金へのレシートまで。
翌日には再び同じ物を使って別の遊びを始める彼等。
嗣ちゃんのライブラリー アイディアに感心しながら私も遊んでもらった今回だった。

2010年3月5日金曜日

ニュージーランドへの旅2

「娘家族の家」
今回のニュージーランド行きは娘一家が引っ越した家と、二人の子供達の生活ぶりを眺めるのが私の主目的。2月のオークランドは真夏。日中はタンクトップでも夕方からはカーディガンが必要という涼しさ。特に彼等の新居のあるオークランド西部は緑が多く 道路からは家が殆ど見えない。道路脇に点在する郵便受けポストでその奥に家の存在が分ると言う感じ。でも道路整備は完璧である。
広い庭(娘のところは2,500㎡)は鬱蒼と茂る大木とシダの林。沢山の鳥達が奇麗な声を聞かせてくれる。まるで居ながらにして森林浴とバードウオッチングをしているみたい。
彼等の家はかなりの広さで ゆったりとしたサロンを含めて8部屋。面白いのは何と10畳の「日本間」が2つ、それに凝った日本庭園まである。この家を建てたのが剣道上段者・日本大好きなNZ人の知人だったのは後で知った事とか。夕刻、部屋の広い窓からは深い緑の先に街の灯りがダイヤのように瞬き、湾内の海が広がって見える。此の家を建てた友人は余程の凝り性だったらしく各部屋にはセントラル・バキューム設備(掃除機を持ち歩かないで済むシステム)を始め様々な工夫を凝らしたキッチンやクローゼットも作られている。
彼の凝り性は日本間に障子(作った大工は“二度と作りたくない大変さ”と言ったとか)に床の間、竹を使った天井。
更には石燈籠に竹垣、菖蒲に八重桜そして金魚の泳ぐ池と和庭園への門等まである。
勿論他の部屋は全て洋式だがどの部屋もゆったり広々。大きなガラス戸と厚いガラス製の「テラスの囲い」の為か限りなく自然と溶け合い心地良さは絶大。
夫・嗣ちゃんと相談して決めたという家具は白中心。大きなソファーやテーブルが何やら私の好みそのままでくつろげる

彼等が 結婚以来10年近く住んできたのはミッションベイと呼ばれる高級住宅地だった。洒落たレストランやカフェ等立ち並ぶ海岸まで車で2分程。
人気の場所だけに庭を2つ3つと割って家を建てる人が増え「建て混んできた」というのが彼等一家の「引っ越し」理由。
それだけに新居での満足度は高く「此処に来てからはリゾート気分でどこにも行きたくなくなった」と言っている。

それにしても青山で育ちスイスやアメリカの学校を出た後ファッション・コラムニストとして世界中を飛び回っていた娘が ルイ ヴィトンの仕事でニュージーランドに出掛け此の国に惚れ込み、結婚相手と出会い、今は二人の男の子の母親として和室のある家に住むとは・・改めて縁の不思議さを痛感する私である。

ニュージーランドへの旅 1

 
「NZの魅力ポイント」
日本では寒い冬、南半球ニュージーランドでは真夏。けれど木陰は涼しく、朝夕は上に羽織るものが欲しく成る気温。
豊かな自然の中 釣りやヨット、様々なスポーツ、ガーデニングに美味しい食事とワイン、加えて人の温かさや治安の良さも旅人には嬉しいもの。

私の「釣り初経験」もこの国だった。鯛釣りを目的に船を出し「竿が重くなったらこれを巻き上げるんだ!」と言われて数分後。
巻き上げるには余りにも重すぎ。手伝ってもらって上げた竿の先には何と7匹のアジ!!
感激の初体験なのに 「これは鯛の餌だ」と無造作に床に放り出す船員。写真に収める事も出来なかった。
娘の夫・嗣ちゃんは「無類の釣り好き」。出掛けると6-7匹の鯛を釣ってくる。勿論 他の魚や伊勢エビなど獲物は多い。
ヨットやキャビン付きボート等、人々の「船保有率」は世界でも1位か2位と言われるこの国である。花を楽しむガーデニングにゴルフ、大きなリュックを背に歩くバックパッカーの多さ、南島ではスキーも魅力的だと聞く。この国は正に自然天国。 

旅のもう一つの楽しさは「ロッジ」と呼ばれる宿泊施設の多さ。ヘリポートを備えた豪華なものから オーナー夫妻がシェフまで勤め、まるで友達の家に滞在するような親しさを満喫できる手頃価格のものまでNZ中の至る所に沢山ある。
車であちこちのロッジを巡る旅もさぞかし素敵な事だろう。ホテルにしても街中、郊外を問わず「キッチン付きレジデンス形式」が普及している。
沢山の店が集まるショッピングモールも各地に有る為「暮らし気分」を味わう事も簡単。
到着した日には時差解消の為 娘の家に泊まらずホテルを取るのが私の常。
今回はオークランド西部、緑の木々に囲まれた小高い丘にある絶景とヘリポートを備えた所にした。広いスイートで日本円約2-3万と云った価格。

NZの国鳥と言えるキーウイーが「天敵が居ない為 飛べなくなった」事に象徴されるこの国の安全さは人間にとっても同様。
害虫が殆どいない上、治安面でも他国に比較して安心感が大きい。人口の少なさ、自然の豊かさ、そして政治の良さなどがその理由では と思う。
日本のある会社の調査によると「行きたい国」の1位か2位がニュージーランドだとか。
繰り返し訪ねたくなる魅力一杯なこの国である。