2013年8月20日火曜日

映画「そして父になる」


  6歳まで夫婦二人が 愛しみ育てた息子が「全く別の夫婦の子である」と 病院から告げられた・・・

 何年か昔、こうした事件が 新聞やTVで報道された記憶が有るが・・若し現実に自分が当事者だとしたら。
 同じ病院で、同じ日に生まれた二人の男の子、其の親と子の葛藤
を描いたこの作品。


 福山雅治・尾野真千子演じる野々宮良多・みどり夫妻。彼は
大手建設会社に勤め、都心の高級マンションに妻と息子と暮らす「人生で負けを知らぬ男」と言われるエリート。
9月28日公開
 取り違えられた相手は、妻みどりの実家近く 群馬で小さな電気屋を営む斉木夫妻(リリー・フランキーと真木よう子)。この夫婦には取り違えられた息子の下に弟・妹もいる大家族。
全員一緒にお風呂に入る等、野々宮家とは正反対に 気楽さ、賑やかさに溢れた家。

 血のつながりを取るか、6年間の愛や情を取るか。
双方が「いっそ二人とも引き取りたい」と言うが・・

 幾度かの交流の後、それぞれが本当の親の元に引き取られる。
比較的すんなり溶け込んだかに見える優しい子・野々宮家で育った慶多だったが 実の子・琉晴は父親・野々宮の言葉に「どうして?」
「どうして?」を繰り返し、遂に群馬へと家出をする始末。
 母親同士は理解し合い、情報交換するも、野々宮にはすんなり理解できない。 が、やがて・・・

誰もが涙無しでは観終われない感動に包まれ、自身に付いても考えさせられるこの作品。

 カンヌ映画祭で審査員賞を受け、スタンディング・オベーションが鳴りやまなかったと言われるのが頷ける。
監督 是枝裕和
助演 樹木希林、夏八木勲、風吹ジュン、国村隼・・
注目すべきは二人の子役。福山雅治幼い時はきっとこんなだったのでは、と思わせるファンショウゲン(滋賀県生まれ)と大きな瞳が涙をじっと耐える優しい子を演じる二宮慶多。


公開9月28日

2013年8月3日土曜日

映画「夏の終わり」





この作品は 瀬戸内寂聴の デビュー作ともいえる原作を 其の出版50周年を期して 映画化したもの。

当時の名 瀬戸内晴美として 1962年「新潮」10月号に発表され、翌年 「第二回 女流文学賞」を受賞。
これ以降、一躍 流行作家として大きく注目を集めた彼女。
御自身を素材として書いた私小説。
40歳の時の作品であり、100万部を超えるベストセラー、ロングセラーとなった。

舞台は昭和30年代の 東京、横浜等。
「年上の男との 包み込むような穏やかな愛の生活。
 年下の男との激しい愛欲・・・
 どちらも私を満たし、そして心を乱す」
こう書かれたキャッチコピー其のままの38歳 バツ1の女性・知子。

注目すべきはこの主人公・知子を演じる満島ひかり。
NHK朝の連ドラ「おひさま」で見せた明るさとは全く別の
シャープで影を持つ顔を見せている。
「その美しさでさえ、同じ女性とは思えない複雑な影」を感じさせ、驚かされる。
 
 製作の苦労話を読むと 昭和30年代を感じさせる場所探し。
最終的には淡路島の生田地区で 地元の方々のボランティア等 大きな協力のもと 撮影されたとか。
 有る年代以上の者にとっては 遠い記憶を呼び起させる背景が 効果的に使用されて居る。

 其れに反し、物語の人物、其の性格、行動設定は全く古さを感じさせない。
それ以上に、現代そのものと言えるのが興味深い。


 満島ひかり、綾野剛、小林薫
監督・熊切和嘉  脚本・宇治田隆史
8.31 全国ロードショー
natsu-owari.com