2012年1月21日土曜日

ニュージーランドへの旅 3 小旅行・ロッジ

この国には「ロッジ」と呼ばれる宿泊施設が 全国に存在します。
ごく家族的な小型のものから、ヘリポートも備えた高価なものまで
あらゆるところに存在するこの施設。
 旅館と民宿を併せた親しさと、立派なホテルの心地よさの両方を備えたもの、とでも言いましょうか。

 今回の滞在中にも 家族全員で ロッジに1泊の 小旅行に出かけました。
以前 出掛けて 私が大層気に入ったマタカナと呼ばれるエリアを指定した為、娘が選んだのは オークランド市から 北へ車で45分、このマタカナにある“The Ridge と言うロッジ。 
 前の時には 海沿いの路を通った為、景色が素晴らしくて 大感動したのが思い出されます。
今回は、高速道路が 新たに出来たと言うので そちらを使用。所が、広い道路は全くガラガラ。他の車には めったに会わない程。
アッと言う間に目的の町に着いてしまいました。
 海沿いの無料道路が 景色的には はるかに良い為 余程の急用で無い限り、通る車も少ないのでしょう。
 途中に眺める 数々の牧場も はるか離れている為、全体が眺められるものの その広さに驚かされます。 馬、牛、時々この国のシンボル・羊の姿も。只、あまりにも牧場が広い為 動物達が片隅にかたまっているみたい。
これだけ広い土地なら、牧草を食べつくす事など起こり得ないでしょう。
 「限られた土地で飼う為、特別の薬物を混入した餌で 急激に肥らせる必要がない為 NZ牛の人気が高い」と聞いた話が 納得されます。

 ロッジに到着する前に、昼食。この地方のレストランをいくつかの覗いてみました。
 ホリデーシーズンの為か どこも 結構な賑わいです。
結局 入ったのは かなり大きく、素朴なイメージで 目の前に広い芝生スペースを備えた店。
混んでいる割に 対応は良く 注文品は直ぐに並べられました。
 私がオーダーしたのは チーズを活かした サーモン、野菜等をミックス使用した料理。
見かけは 決してエレガントとは言えませんが これがとてもおいしい!!  私には 量が多すぎるものの、いつも以上の食欲で頂きました。
 娘の説明によると、ここはNZでも有名な チーズメーカー直営のレストランとか。後日 スーパーで「これも、これも この間のレストランと同じ会社の製品よ」と見せられたのでした。

 今回は子供達もいる為、ワイナリーの「ワインの試飲」場所は 横目で 幾つも眺めながら通り過ぎ 目的のロッジへ。

 The Ridgeは 小高い丘の上。遥か下方、幾つもの山の彼方に海。
海に向かって3つの部屋が並び、その先に2階建ての部分という建物。
 車を止めているとロッジオーナーのマダムと犬が出迎えてくれました。
 私用、子供二人用、娘夫婦用と 3部屋を予約した今回。客室が3部屋しかないこのロッジを貸し切りです。
部屋内は 入ってすぐの左手に 洋服のハンガーラックと荷物置き場、次にゆったりしたバスルーム。
二つのベッドに 片側は長いデスク。シンプルで、快い温もりを感じる 心地良げなインテリアです。
部屋の正面下方には 斜面に林や牧草地が見え、其の遥か先に海が。  なだらかな斜面の一部に カラフルな花畑。 
広い空と緑と海。見晴らしは抜群です。
 3部屋の先には 暖炉を備えたゆったりしたサロン、その奥がダイニングルームと続きます。

 子供達は 犬のチャーリーとボール投げに熱中。
ワンちゃんも 遊びたくて 吠えながら けしかけるなど 大喜び。
ボールを投げると 取りに行って帰ってくるものの、ボールは咥えたまま。時々放して 取り合いしてみたり・・
 私達はサロンでお茶。 歓迎の一杯です。この屋の御主人も現れ おしゃべりで くつろぐひと時。
 外は陽が照ると暑くなるのに 暫くすると曇って 小雨が降り出し 涼しくなったり。「この夏は気候がおかしい・・」と。
こうしたロッジは 「其々の部屋&サロンやダイニングルームは客が自由に使用出来、翌朝の食事が付く」のが普通のあり方。ディナーが付くところもあります。
 「引退したご夫婦が お料理好きな奥様と、人と接するのが好きな御主人の 趣味と実益を活かして経営している」ケースが 非常に多いようです。ここもまさに その一つでしよう。

 部屋には このエリアを最初に切り開いた人々の歴史を物語る小冊子や 夜の食事と 翌日の朝食のメニューも JUNKOと名前付きで置かれています。
 お夕食までのひと時、のんびりしながら 小冊子を読むと「このエリアに入植したのは1800年代のボヘミア・現在のチェコスロヴァキアの人々・・」当時の写真入りで書かれています。
 ニュージーランドが英国領であった事を考え 一瞬 不思議に思いましたが、こうして世界各国からの入植者が多かった為、現在も人種差別の無い事、気楽に引っ越しをする習慣等 無関係ではないかも・・と思いました。

さて夕食は 「アぺリチーフを7時頃から」とあったのでサロンに集まって またおしゃべり。
ご主人が 自慢のワインを開けるものの、近年 全く飲まない私と娘。飲むのは娘の夫・嗣ちゃんと この屋の御主人だけ。
子供達は 置かれているギターに触れたり、犬のチャーリーとふざけたり。
 早々に お食事が始まりました。予約時に 食事に関する好み その他も告げてある為、希望に沿ってマダムは 腕をふるったのでしょう。
自家製アスパラガススープと フォカッチャに始まり、ジンジャーアイスクリーム(私は初体験)で終わった食事はどれも満足なお味。
 ワインも 全てこのマタカナ地方のものとか。

数年前、私が かなりの呑み助だった頃 あちこちのNZワイナリーを回って楽しんだのを 思い出しました。
 当時 この国でも入手困難と言われた、最高のワインを創る弁護士さんを訪ね 小さなぶどう畑を見たり 工房を見学させてもらった事。其のワインがグランド ハイアット ホテルに かなりの高値で置かれていた事等を思い出し 飲まない今、「何か 大事な忘れものをした気分」です。

さて、町に出れば色々とある模様でしたが、結局 その夜は何処へも行かず のんびり。
 翌朝もゆっくり起きて、又、彼女製のパン2-3種、ジャムにアボカドの蜂蜜・・・自家製ヨーグルトや 搾りたてのオレンジジュースなど 全ては家族的な味の朝食。

 帰路は他のレストランに寄ったり、景色を眺めたり・・
ゆっくりできた2日間でしたが、家に帰っての娘の感想は。
「自然に囲まれた地方に行っても、以前ほど感激しないこの頃なの」。

それは当然。住宅街から引っ越し、今、彼らが住む家の周りは鬱蒼とした木々と この国のシンボル「シルバー ファーン」(裏が銀色のように白い 大きな葉のシダ)が茂る2400平米の庭。隣の家の屋根すら見えない広い林。林の中には細い散歩道、そして家の脇に日本庭園。
まさに自然を満喫している毎日です。
 改めて 丘や木々を眺めても、昔の家に住んでいた時のような感激が 無いのも当然というもの。

私への 「親孝行の為に 一家4人で付き合ってくれた」今回の小旅行でした。