2010年8月24日火曜日

アメリア・永遠の翼

 ヒラリー・スワンク、リチャード・ギア。素敵な顔合わせ!この映画は 世界で初めて大西洋を飛んだ「女性飛行家・アメリア・イヤハート」の実話。
 時は1928年。女性が飛行機を操縦し、アメリカからイギリスまで飛ぶ等 誰一人考えもしなかった時代。
アメリカ中が此の勇気ある女性に熱狂し、国を挙げてのパレードで大歓迎。凱旋帰国した彼女は忽ち超人気のセレブに!!
 以来「史上最も有名なアメリカ人10人」に必ず入るという。
 彼女がその名を広めた翌年・1929年と云えば ニューヨークで株の暴落から「大恐慌」が世界中に広がった時。
こんな中で、次々と「大西洋横断単独飛行」「大陸横断」「太平洋横断」と新しい冒険を成功させ続けた彼女。不況に打ちひしがれた多くの人々に 勇気と夢を与えたアメリアが 映画スター以上の人気と評価を集めたのは 現在想像する以上だったに違いない。
 一方で この時代は「女性解放・自立意識」が大きく高まり、ショートヘヤーに活動的なファッションが喜ばれた。
 パリではココ シャネルが、服、香水とビジネスを広げ、「新しい時代の自由な女性」としての人気を集めている。

 こうした時代背景を知ればアメリア人気も 深く頷ける。
同時に 空を飛ぶ、それも大海原を超えて飛ぶ飛行士の存在は「尊敬と憧れの的」であった。「翼よ、あれが巴里の灯だ」の言葉で有名なリンドバーグがニューヨークからパリへの初飛行に成功し世界中を沸かしたのは、アメリアの直前。

 ヒラリー・スワンク演じるアメリアの 限りない夢を支え続けたのが、リチャード・ギアが演じるジョージ。広報を担当し 飛行に必要な費用捻出等すべての面で奔走、やがて結婚。束縛を嫌う彼女は 一方でパイロット教官ジーンとの恋も。
多くの新記録樹立の最後に、彼女が描いた夢は「単独世界一周飛行」だった。夢実現を懸命に支える夫への愛に再び目覚め、「これを最後の飛行にする」と誓う彼女。
 しかし当時の機材では 途中での燃料補給が欠かせない。それが可能なのは只1か所。絶海に浮かぶ砂粒ほどの小さな島のみ。果たして・・・

 何ともドラマティック。 冒険と自由、愛と感動に満ちたストーリーは 「フィクション以上に胸躍る面白さ」である。

 興味深い見所は非常に多い。当時の社会、音楽等と共に 見落とせないのがファッション、特にアメリア自身、その名を付けて展開したブランドの「飛行士ルック」を始めとする数々のファッション。全てが、そのまま 今着たくなる魅力に溢れている。

 又、余談だが、現在誰もが使う腕時計。
これを初めて作ったのは、1904年。ルイ・カルティエが 友人の飛行家・サントス・デュモンへ「操縦中に便利な為」であった。
 映画の中で、恋人ジーンとの別れに 自分の腕時計を外し 「彼の息子」へと渡すシーンがある。当時の「腕時計の価値の大きさ」を想えば、この場面の印象も変わるというもの。

 「夢に限度は無い!」。自由に羽ばたき、夢を求め続けた彼女の生き方は 「大不況」と云われる現代の私達にも 大きな力を与えて呉れるものだろう。


(C)2009Twentieth Century Fox
11月27日、TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー