2011年8月10日水曜日

映画「シャンハイ」

 時は1941年、正に「太平洋戦争」開戦寸前の上海。

 当時「魔都」と呼ばれたこの街は 英米の支配する共同租界とフランス租界で成り立ち、日本もその中に割り込み 勢力拡大を図って居た。
 表の華やかさ、豪華さの裏で繰り広げられる 各国の諜報戦争、そこに組み込まれる中国人の祖国愛と様々なテロ的活動など。
 正に陰謀渦巻く上海で 危険を背景に芽生える愛とスリルの物語。

 米国の諜報員ポール(ジョン・キューザック)は 表向き新聞記者として此の地に着任。まず直面したのが親友諜報員の他殺体であった。
 華やいだ社交の場を知るにつれて浮かび上がる人々。そこには 日本に情報を売る 中国人大富豪ランティン(香港スター チョウ・ユンファ)・裏の顔は「闇社会の顔役」。 その妻・美女のアンナ(コン・リー)等ナド。次第にその実体が見え始めるポール。
 一方 日本軍大佐・田中(渡辺謙
)も紳士然とした裏は海空軍を掌握する情報部員。そして死んだ親友の恋人・阿片中毒の日本女性・菊池凛子。

あたかも絡み合った糸をほぐすような複雑さでストーリーは進行してゆく。

 手に汗握るスリルと テロ活動の連続を 美で彩るのが コン・リーの知的セクシーな魅力と 数々のファッション。中国服からイヴニングに昼の服など、どれもが、時代を超越した「美」を楽しませてくれる。

 まさに「これぞ 当時の上海!!」

 又、米日中と三国の名優たちが演じる物語の人物像。
そして多くの衣装と背景の街は 当時の上海を見事に描ききり、何とも魅力的。

 実を言うと上海は 私の生まれ故郷。まだ幼かったといえ この時代、此の地に住んでいた。
 もっとも、私の父は自然科学の研究者。フランス租界で 大きな敷地内に研究所と住宅があり、此の作品の上海暗部とは無関係に暮らしていたが、それでも一歩外に出れば、薄暗い路地に見る中国人達の貧しさ、そして他方には美しいフランス風街並みや 洒落た建物・庭がみられた上海が 私の郷愁を強く呼び起す。

 本来「ハラハラ・ドキドキは大の苦手」な私だが 物語の思いがけない展開、その面白さ、画面の美くしさや 多彩な俳優達の見事さ・・・等などに惹かれ 結末まで 目を離す事が出来なかった。
 見終わった後、幾度も想い返し、もう一度見たい思いに強く駆られる此の作品である。

映画「シャンハイ」
公開は8月20日

是非お勧めしたい映画「シャンハイ」!!!