2010年12月12日日曜日

特別展 ダ・ヴィンチ

モナ・リザ 25の秘密

2010年12月7日-2011年2月20日
日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム[第二花壇特設会場]
  何とも興味深い展覧会を見た。展覧会と云うべきか、ミュージアムと云うべきか・・・ともかく非常に面白い。
 言うまでもなく、ルネッサンス時代・イタリ―の天才・レオナルド・ダ・ヴィンチに関する特別展。

 あの「モナ・リザ」を描いた天才画家の多彩な発明品を形にし、更には「モナ・リザ」を描いた当時の色彩や その後の修正部分にまで 科学のメスを入れ 変化を見せてくれる。

 レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1510)はイタリア トスカーナ地方の村で 婚外子として生まれ、母は彼の誕生後 他の男性と結婚。彼は正規の教育を受けることなく 14歳の時 フィレンッエで大工房を構える ヴェロッキオに入門。
 当時は画家、彫刻家等は 全て職人と見られ様々な技能を求められたという。此処にはボッティチェリ等が兄弟弟子として働いていた。

 正規の教育を受けて居なかったダ・ヴィンチは ラテン語で知識を広めることが不可能であった為、ひたすら好奇心、観察と経験で自然の探究に夢中になったと言う。

 ヴェロッキオから離れた彼は 当時最も必要とされた戦争に役立つ「軍事技術者」として召抱えられ 戦車や機関銃等、様々な兵器を発明。同時に橋の設計から、伝染病蔓延を防ぐ理想都市の構想等も行った。

 発明家、科学者、技術者、建築家、数学者と同時に楽器を制作し演奏も行い、絵画彫刻もこなす 正に万能の天才。
 彼の発明 、人体解剖図等を細かく記した小さなノート「手稿」は24000ページに及び 現在残されているのは6000ページほどだとか。
 この貴重な古い小さなノートも今回展示されているが、此処に描かれた数多い発明品の図面を 復元し模型を製作しようとする動きは 50年ほど前から起こり、約120以上の模型が 15世紀の素材を使用し復元された。今回展示されているのがそれである。

 彼がモナ・リザの制作に取り掛かったのは1503年。亡くなる迄 手元に置き加筆を続けたと思われるこの作品。
 その加筆過程や 描いた当時と現在との色変化等が 科学的分析で展示説明されているのも興味深い。
 決して多作とは言えない彼の絵画、ミラノで戦火を逃れた名壁画「最後の晩餐」から「受胎告知」「岩窟の聖母」・・ 其の作品にまつわる話も紹介されている。

 遥か500年も昔、現在の「ヘリコプター」の原理を生み、今のものと同じ考え方と形の「潜水服」等を創った事も分かる等 沢山の展示品。

 正に天才と云う人間の大きさに驚き 一方で 「其のアイディアを盗まれないように」と左手で反対向きの「鏡文字」で説明書きする等、人間的な身近さえ感じる今回の特別展。

 一点毎に分かり易い説明が聞ける為、大人は勿論子供にとっても大きな興味と刺激になる 何とも素晴らしいミュージアム。
 ぜひとも 再度観たいと思っている私である。