2010年3月9日火曜日

ニュージーランドへの旅 5

「賢い法律」
10年ほど前、この国で結婚・出産をした娘・彩は言う。「色々欲を言えば文句もあるし 税金も安くないけど(消費税12,5%、所得税最高で39%位)。でもそれなりの事をしてくれるし、政治の透明さはあるし、 セキュリティーも悪くないし。住むにはとても良いと思う」。 旅行者の私が先ず驚いたのは 入国時の持ち込み品チェック。
「食品、動植物」は全て申告。泥のついた靴や植物の種は厳禁。あくまで「環境保全」を貫く姿勢が強く感じられる。
「木々の自由な伐採禁止」もその現れのひとつ。「釣り」の時も驚いた。「一定以下の大きさの魚を捕る事」は禁止。
何と「船主は船没収。船を雇った人は車没収」とか。その上に罰金が科せられるのか否かは知らないがともかく厳しい。
こうした法律が存在してこそ、この国の豊かな自然が保たれるのだと感心したくなる。公園の小川にワニが捨てられる等 怖い事の珍しくない日本の現状と穴だらけの法律が改めて気になる。

所でこの国で感じるのは子供の多い事。何処に行っても子供一杯。少子化が心配される日本とは大違い。ここで妊娠・出産を経験した娘の話が驚きの連続だった事を思い出す。
詳しい事は又いつか別に書くとして、行政と委託された民間会社の連携で「初産」でも不安無く 無料で適宜に様々な検査を受け 出産出来る。それも事務的な処理法ではなく 親しい身内が付き添い続けるような安心感だったという。
出産後も赤ちゃんを連れ 病院へ検診に行くのではなく、体重計その他をもって月に2回、家まで来てくれたとか。
又ほかにも子供に関する法律は多く、14歳までは 子供だけで置く事は禁じられている。ここでは「カギっ子」や よほど近くでない限り「一人で登校」も許されない。
又「全ての子供は5歳から教育を受ける権利を持つ」。その為 5歳の誕生日になると学校に入学する。 日本の様な「一斉入学」とは違う。「教室内で机がグループ化されるのはその為」。遅く入れば分らないのは当然。 誰も「落ちこぼれ」だなんて思わない。
社会福祉に関しても「生活可能な金額」の支給があるらしい。
人々が温かくゆったり生活しているのも 何やら納得出来る。
加えてもう一つ。法律ではないが「キーウイー(NZ人は自分たちの事をこう呼んでいる)ハズバンドは世界一 家事・育児を行う」のは有名な事。
「手伝う」のでは無く「分担する」のを当然だと考えている。
彩の出産時に「立ち会うか否か」を迷っていた夫・嗣ちゃんが「迷うなんて。お前 それでも人間か!」とNZの友人に云われた話は今でも忘れられない。

法律が賢く 政治に信頼感を持てるこの国。税金を私物化する大物政治家が跋扈し いつまでも不況から抜け出せずにいる日本から見ると とても羨ましく感じられるニュージーランドである。