2013年8月3日土曜日

映画「夏の終わり」





この作品は 瀬戸内寂聴の デビュー作ともいえる原作を 其の出版50周年を期して 映画化したもの。

当時の名 瀬戸内晴美として 1962年「新潮」10月号に発表され、翌年 「第二回 女流文学賞」を受賞。
これ以降、一躍 流行作家として大きく注目を集めた彼女。
御自身を素材として書いた私小説。
40歳の時の作品であり、100万部を超えるベストセラー、ロングセラーとなった。

舞台は昭和30年代の 東京、横浜等。
「年上の男との 包み込むような穏やかな愛の生活。
 年下の男との激しい愛欲・・・
 どちらも私を満たし、そして心を乱す」
こう書かれたキャッチコピー其のままの38歳 バツ1の女性・知子。

注目すべきはこの主人公・知子を演じる満島ひかり。
NHK朝の連ドラ「おひさま」で見せた明るさとは全く別の
シャープで影を持つ顔を見せている。
「その美しさでさえ、同じ女性とは思えない複雑な影」を感じさせ、驚かされる。
 
 製作の苦労話を読むと 昭和30年代を感じさせる場所探し。
最終的には淡路島の生田地区で 地元の方々のボランティア等 大きな協力のもと 撮影されたとか。
 有る年代以上の者にとっては 遠い記憶を呼び起させる背景が 効果的に使用されて居る。

 其れに反し、物語の人物、其の性格、行動設定は全く古さを感じさせない。
それ以上に、現代そのものと言えるのが興味深い。


 満島ひかり、綾野剛、小林薫
監督・熊切和嘉  脚本・宇治田隆史
8.31 全国ロードショー
natsu-owari.com