2004年 スマトラ島沖地震で起きた 実話を基に作られたこの作品。
感動する映画は多い。けれど「3・11」を経験した日本人にとり、この驚きや、感動は格別なもの。
それは ごく普通のイギリス人一家の遭遇した事件。
12月24日 タイのプーケットに 休暇を過ごすために訪れた一家。
南の国で 楽しく迎えたクリスマス。
ホテルのプールでマリア(元・医師)と未だ十代の長男・ルーカス、次男のトマス、そして幼い三男サイモン等と賑やかに過ごして居た時だった。
突然起こった激しい揺れ!! 揺れに続いて 襲って来たのは 巨大な津波!!
あっと言う間に 大きく茂った椰子の木々が倒れ、ホテルもプールも全てが流されていく。
やっとの思いで手をつなぎ合ったマリアと長男のルーカス。脚に大怪我を負ったマリアと ルーカスは 「又、大津波が襲ってくるかも・・」と 残された大木にやっとの思いで登った時、近くで幼い子供の声が「パパ!」と呼んでいる。動けないらしい。
「ルーカス 行って助けて頂戴!!」とマリア。
「又 波が来たら僕達 死んじゃうよ!」とルーカス。
「でも、行かなければあの子は助からない。行って!!」
マリアの言葉にルーカスは 動けないでいる幼い男の子を助け出し、木の上に。
多量の出血に弱って行くマリアの手を、優しく撫でる幼い子・・
©2012 Telecinco Cinema, S.A.U. and Apaches Entertainment, S.L.
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怪我人で溢れている病院。
多量の出血で悪寒に震えるマリアだが、「ルーカス、ここで 貴方にも 出来る事が有る筈! それと もし、あたしの足が黒く見えたら危険の印だから看護婦さんに言ってね」と。
ベッドに横たわる人々の叫ぶ 名前を確かめ、メモしながら走り回るルーカス。
幾人かが 彼のお陰で めぐり合いを喜ぶ姿に触れる。
やがて彼はマリアの足の色が黒くなっているのを確認。
「未だ赤いよ!」とマリアに告げ、急いで看護婦の元へ走る彼。
その頃、夫ヘンリーは、幼い二人を両脇に抱え 逃げ延びたものの、マリア達の行方探し。 疲れ果てた何人かと共に過ごして居た。
一人が持つ携帯電話を借り、親元に電話し「もう駄目だ!」と涙を流す彼に
©2012 Telecinco Cinema, S.A.U. and Apaches Entertainment, S.L.
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最悪時に見せる人間愛が 胸を打つ。
幾度かのすれ違いをしながらも やっとめぐり合った一家が迎えるのは、マリアの手術。
其の夜、着の身着のまま、傷さえ負いながらも 一家が共に居られる幸せに 感謝しつつ マリアの手術成功を祈り続ける彼等。
そして手術はどうやら成功。その後、思いがけない次のシーンが。
「さあ、もう安心して下さい。私達 ○○保険会社は シンガポールで最新完璧な医療施設での 介護に当ります!」
用意された専用ジェット機でシンガポールへと向かう一家。
離陸寸前、ルーカスがマリアの耳元で囁いたのは「あの最初に助けた幼い子が パパらしい人に抱かれて 喜んでいるのを見たよ!」。
この作品のプログラムには 実話の元となった一家の 大きく育った息子達と夫妻の写真が載っている。
そして
「これは私達の物語では無いわ。多くの、本当に多くの人々の物語なの」と言うマリアの言葉。
そう、これは民族を超え 場所を越えた 世界皆の物語。
愛と絆の物語である。
感動で涙を流すのは 私だけでは無い筈。
改めて3・11に被災された皆様を想う気持ちを強くしたのだった。
6月14日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開